RENOVATION
JOURNAL
リノベの情報マガジン
2021.10.22 金
No.05
リノベーションのコト
古民家をリノベーションする方法は?メリットや注意点も解説
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古民家は最近の住宅にはない風情や趣きがあるため、リノベーションをして住みたいという方も増えてきています。古民家には多くの魅力がありますが、古民家ならではのメリットだけではなく、デメリットやリノベーションの際の注意点などを確認しておくと、リノベーションの失敗を防ぐことができます。
今回は、古民家をリノベーションする方法や注意点、リノベーションの費用相場などについて詳しく解説していきます。
目次 [閉じる]
古民家とは
古民家とは、一般的に建築年数の古い民家のことを指します。明確な定義はありませんが、文化財登録制度では築年数50年以上とされています。また、築年数以外では、次のようなものにあてはまる民家を古民家と呼ぶケースがあります。
- 木造軸組工法で建てられた民家
- 茅や葦などを用いた草葺き屋根、日本瓦葺き屋根を採用している
- 土間と太い柱、梁がある
古民家には、農村民家や武家民家など、趣きのある建物が多いという特徴もあります。このように風情があって独特な雰囲気がある古民家ですが、近年ではリノベーションで再利用されるケースが増えてきているため、注目を集めています。
古民家リノベーションのメリット
古民家リノベーションには、主に次のようなメリットがあります。
- レトロな雰囲気を演出できる
- しっかりとした建物の造りを再現できる
- 住み心地が快適
- 固定資産税を抑えられる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
レトロな雰囲気を演出できる
リノベーションといっても、もともと風情のある外観や建材を活かすため、レトロな雰囲気を満喫することができます。土間や縁側など、近年の住宅ではほとんど見かけなくなった空間があるのも魅力です。
柱や梁などの素材が露出している建物が多く素材をそのまま活かして、古民家特有の内装を仕上げることもできます。
新築住宅には整形された角材などが使われていますが、古民家リノベーションでは、柱や梁などの古い部分をあえて残すことによって、新しさと古さの調和を演出したデザインでリノベーションを行うこともできます。
新築住宅では得られない経年による素材と建物の味わいは、古民家リノベーションならではの醍醐味と言えるでしょう。
しっかりとした建物の造りを再現できる
古民家には、新築住宅に用いられている建材よりも強度の高い木材が使われています。そのため、たとえ古くても柱や梁などを活かすことが可能です。「古い家だから建物の造りが心配」という方でも、古民家をしっかりとした造りの住宅にリフォームすることができます。
住み心地が快適
古民家リノベーションは、新築にはない趣きを残しながら、現代風の快適な使い勝手と住み心地を得ることができます。リノベーションの範囲は人によって異なりますが、キッチンやリビングダイニングをリノベーションすることもできます。
外観や建材の風情を残しながらも、最新設備を導入できるのも、古民家リノベーションの大きな魅力と言えるでしょう。ライフスタイルに合った間取りに変更すれば、機能性を上げることもできます。
固定資産税を抑えられる
固定資産税の税額は、建物評価額と土地評価額によって決まります。そのため、築年数を重ねた古民家は、新築に建て替えるよりも建物評価額が低いため、固定資産税を抑えることができます。リノベーションをすれば資産価値は上がります。しかし、築年数を重ねた古民家は建物の資産価値が大幅に下がっているため、同じ規模の新築物件よりも固定資産税は安くなります。
ただし、増築を行うと建物評価額が上がる可能性もあるので注意が必要です。増築は「新しく建物を建築した」とみなされて評価替えが実施されるからです。
ライフスタイルの変化でどうしても増築が必要な場合は、固定資産税が上がる可能性がある点について覚えておきましょう。
古民家リノベーションのデメリット
古民家リノベーションのデメリットも確認しておきましょう。主なデメリットは以下の通りです。
- 耐震性に問題がある
- 材質にこだわると費用が高額になる
耐震性に問題がある
古民家は、1981年以前の旧耐震基準で建てられた住宅なため、現行の耐震基準は満たしていません。大規模な地震が発生すれば、倒壊してしまう恐れもあります。
古民家に使われている建材はしっかりしていたとしても、家全体の耐震性には問題があるため注意が必要です。
リノベーションする際は、耐震性を強化することも視野に検討を進めると良いでしょう。
材質にこだわると費用が高額になる
古民家の状態によっては、使用する材質が高額になってしまうケースがあります。古民家リノベーションは中古住宅のリノベーションよりも工事個所が多くなるため、材質にこだわると、全体的なリノベーション費用も高額になりがちです。
断熱性や防音性などの居住性能を高めたいという際には、使用する材質もワンランク上のものになり、費用が高くなります。居住性能を重視したいという方は、リノベーション費用を多めに用意しておくといいでしょう。
古民家リノベーションの費用相場
元の家の状態や強度、工事をする箇所などによって古民家リノベーションの費用は異なりますが、一般的には最低でも300~500万円はかかると考えておくといいでしょう。
柱や梁などの構造物が劣化しているケースでは、さらに費用がかかります。建材や設備などにこだわった場合は、1000万円~2000万円という費用になることもあります。
古民家リノベーションの注意点
古民家リノベーションの際には、次のような点に注意する必要があります。
- 耐震補強工事は必須
- 断熱性の確保も重要
- 雨漏り対策も欠かせない
- 間取りの変更は優先的に
それぞれ詳しく見ていきましょう。
耐震補強工事は必須
古民家は耐震基準などがなかった時代の建物なため、耐震補強は必須です。室内のリノベーションや設備、デザインなどの費用とは別に、耐震リフォームにどの程度の費用がかかるのかを確認しておきましょう。
強度は建物によって異なるため、耐震リフォームの費用相場には大きな幅があります。
断熱性の確保も重要
古民家の断熱性は最新の住宅に比べると低いため、断熱性の確保も重要です。断熱性を高める工事は、部分的なリノベーションでも可能です。壁の内側に空間がない古民家の場合でも、一般的な断熱材ではなく、薄いシート状の断熱材を使って対応できることもあります。
雨漏り対策も欠かせない
古民家には防水シートが張られていないため、雨漏り対策は欠かせません。防水シートは、瓦を支える板地に雨が侵入するのを防ぐ大切なシートです。過去に1度でも改装や補修をしている古民家は、すでに防水シートが施工されていることもあるため、事前に確認しておくといいでしょう。
また、すでに雨漏りが発生している物件の場合には、リノベーションと同時に雨漏りの補修工事をおこなう必要があります。補修工事の方法はいくつか考えられますが、補修工事を1度も施していない古民家の場合は、葺き替え工事をするのが一般的です。
間取りの変更は優先的に
大枠の間取りの変更を優先的に行うと、後から間取りに応じたリノベーションがしやすくなります。間取りは暮らしていくうえでもっとも重要なポイントです。間取りを優先してリノベーションをしておけば、後から細かい部分に手を加えたくなっても、大規模な工事が必要ありません。
また、古民家の間取りは最近の住宅とは大きく異なっているため、使いにくさを感じる場所もあります。古民家ならではの雰囲気も重要ですが、暮らしやすさを優先するためにも、まずは間取りの変更から検討していきたいところです。いずれにしても、古民家ならではの良さを残しながら、現代のライフスタイルに合わせた間取りを考えるようにしてください。
まとめ
古民家ならではの魅力たくさんありますが、リノベーションして住む際に古民家のメリットだけではなくデメリットも確認して快適な住み心地を実現できるようにしましょう。
特に、耐震リフォームを怠ると地震などで建物が崩壊する可能性もあるため、どの程度の費用がかかるのを必ずチェックしてください。設備などにもこだわりたいという場合は、費用を少し多めに用意しておくことが大切です。
注意点にさえ気をつければ、新築住宅にはない風情のある暮らしが楽しめるため、この機会に古民家リノベーションを検討してみてはいかがでしょうか。